今年は秋本番になっても暖かい日が続きましたが、
いよいよ木枯らしが身にしみるような季節になってきました。
朝晩急に冷え込むようになり、思い出したように銀杏の葉が色づき始め、
「ああ今年も冬が来るな」と思いながらマフラーを引っ張り出した先週末。
大好きだった祖母が96歳でこの世を去りました。
生まれたときから、途中何年かの中断があったにせよ、
四半世紀以上一緒に暮らした、私にとって特別な祖母でした。
とはいえ、最後の1年弱は入院していたので、一緒にいたわけではなく、
しかも薄情な孫娘はなんだかんだと理由をつけて、
あまり病院には顔を出しませんでした。
祖母は最後まで頭がはっきりしていて、普通に話ができたので、
逆に病院のベッドで所在なげにしている姿を見るのが少し辛かったのです。
でも、もっと頻繁に会いに行けばよかった。
この地球上にはもうどこにも祖母はいないんだなあ、と思うと、
改めてそんな風に考えてしまいます。
一緒に住んでいた頃は、よく一緒に食卓を囲みました。
週末は私が「食事当番」になることもありました。
私は祖母が相手でも今とまったく変わらない「思いつきの肴」スタイルで、
まあ多少やわらかいものを出すように気をつけていた程度でしたが、
祖母は何を出しても喜んで食べてくれました。
一時期、手打ちパスタに凝って週末のたびに作りましたが、
お箸で美味しそうに食べてくれていた祖母の姿を思い出します。
酢の物や豆腐料理やポテトサラダも、祖母が一緒に食べてくれたものです。
本日も残り物で肴を作りながら、
「ああ、家族ってきっとこういうことなんだな」
と思いました。
多分、今後も私はずっとこうやって、酒の肴を作り続けるのだと思います。
そして時々ふと、台所で「そういえばこれ、おばあちゃんも好きだった」
などと思い出したりするのでしょう。
食卓での祖母の笑顔とともに。