久しぶりの更新は、またもやラグビー日本代表についてです。
今年4月に誕生したエディ・ジャパンは「第2期」に入りました。GWに観戦に行った「アジア五カ国対抗」を圧倒的な強さで優勝した後、6月からは「IRBパシフィック・ネーションズカップ2012」でサモア、トンガ、フィジーというアイランダー諸国と対戦しています。
正直なところ、前回の大会は「試運転」レベルでも何とかなる相手だったのですが、今大会の4カ国はいずれも実力は伯仲しています。世界ランキングも拮抗、対戦成績は五分もしくはやや押され気味。しかも、W杯の成績だけを見れば、他のどの国も過去に決勝トーナメントに進出しているのに、日本だけがまだ1勝しか挙げていないことを考えれば、相手は事実上格上とも言えます。
つまり、経験の浅いメンバーが多くかなり「若い」チームを組んでいるジャパンとしては、いずれもかなり手こずることが予想される相手なのです(とはいえ、やはりW杯後のシーズンとあって、他の3カ国も結構メンバーを刷新したりしているようですが)。
懸念した通り、名古屋市瑞穂公園ラグビー場で6月5日に行われた初戦の対フィジー戦は、19-25で敗れました。
さらに、6月9日には秩父宮で対トンガ戦が行われ、こちらは気合を入れて(ビールをたくさん飲んで)現地応援したのですが、20-24というさらに僅差での惜敗。
ラグビーでは、トライで5点、トライで権利がもらえるコンバージョンキックが入るとさらに2点が入るので、7点差以内なら大体において「あと一歩及ばなかった」と見なしていいでしょう。
2試合をあえて乱暴にかつ偉そうに一言でまとめると、個人対個人のパワーとスキルに差があり、その差を埋めるための日本の組織プレーがまだ詰め切れていない、という印象でした。ただ、アイランダーのパワーとスキルに、あくまでジャパン特有の緻密な組織プレーとスピードで対抗していくのだ、という方向性は明確に示されていたと思います。
アイランダーに限らず、世界の強豪国と本気で対戦する試合、つまりW杯のような場面は、「個人のパワーとスキル」で日本が勝っているということはまずあり得ません。だから、これは出発点のようなもの。この「個人のパワーとスキル」の差をどうやって克服するか、というのは、日本のラグビーにとって長年の(もしかしたら永遠の)課題なのだと、私なんかは解釈しています。
そして今のジャパンは、そこの差をあくまで、前述のように組織プレーと、そして特にスピードで乗り越えようという姿勢を明確に打ち出しています。その姿勢は徹底したもので、選手一人ひとりのセレクションからエディ・ジョーンズ監督の言葉の端々に至るまで、頑固なまでのメッセージとして一ファンにも伝わってきます。
このようにメッセージがシンプルで明確であることも、今回のジャパンを応援しやすい一因だと思っています。
エディ・ジョーンズ監督という人をファンの視点から捉えると、とにかくメッセージを発するやり方がずば抜けて練れた人です。ナショナルチームの監督のどのような行動が、ファン心理にどのような影響を及ぼすのか、多分この人はすべて自覚しているのだと思います。
小柄で親しみやすい風貌の「エディさん」。日本語もかなり上手だし、ユーモアも忘れません。ファンにも選手にもいつも誠実に接していて、元教員という経歴になるほどと思わされます。
ところがよーく見ると、目は笑っていないことが多いんですよ。結構食えない人なんだろうな、と勝手に想像していますが、だからこそ、私は一ファンとしてこの監督を信頼しています。
だから今、ジャパンラグビーで一番頼りになるのは、実はこの人だったりします。そういう監督の率いる代表チームを応援できるのは幸せなことです。